はじめに
トランジスタで作ったインバータが遅れるのと
なまっているのがオシロの測定で確認できたので。
高速化について検証しました。
ことの発端は、
昨日の記事のトランジスタインバータ回路の応答が遅れる事に触たれた
S.BUS回路用の反転回路の信号測定です。
Twitterでもつぶやきましたが,今日はそれについて,少し考察できたので,話したいと思います.
昨日、投稿したBlogの記事(https://t.co/u76m4Wwrrh)でトランジスタのインバータの遅れ、基本的なこと忘れていました。しばらく扱ってなかったりすると忘れますね。リフレッシュせねば。 pic.twitter.com/fneKPmUjLc
— Kouhei Ito (@kouhei_kanazawa) March 17, 2020
遅いスイッチング
黄色が入力信号,水色が出力信号です.
これがどうしてこうなるのか考えていきたいと思います.
スピードアップコンデンサ
当初のインバータ回路
上図は遅れが発生した回路です
この回路が悪かったわけですが,結論から先に言いますと, ベースの入力前の抵抗にコンデンサを並列に接続すると,遅れが改善できます.このコンデンサをスピードアップコンデンサと言います. コンデンサのほかに,プルダウンの抵抗を一つ追加します.
回路図は以下のようになります.
後で紹介する参考文献の「定本 続 トランジスタ回路の設計」の8章P192によると
「トランジスタはONしていときはベース領域に電子が存在し,OFFにするとすぐには電子が無くならず,無くなるまでOFFにならず,ベースの電流制限抵抗があるために電子はすぐには流れて行かない.」
と言うことだそうです.
そこで,R1の抵抗に並列にコンデンサを付けると,入力信号の立ち上がりと立下りで,抵抗を通らず電流がコンデンサをバイパスして通るので,電子が瞬時に流れていくということです.
色々実験してみた
実験に用いたトランジスタは古の定番2SC1815です.
手元に抵抗は種々の抵抗値のものがあったのですが,コンデンサはあまり種類がなく,100pFのもの一つで実験しました.
実験1
まずはR1,R2(R1とR2常に同じです.)が6.2KΩでRLが3.3KΩです.
実験2
R1,R2(R1とR2常に同じです.)が8.2KΩでRLが3.3KΩです.
少し早くなったのが,わかりますか?
実験3
R1,R2(R1とR2常に同じです.)が9.1KΩでRLが3.3KΩです.
実験4
R1,R2(R1とR2常に同じです.)が10KΩでRLが3.3KΩです.
R1,R2が10kΩの時が最も早く立ち上がっています.
結果の比較
時間軸を,昨日のものと同じにして比較してみます.
スピードアップコンデンサの劇的な効果が確認できました.
プルダウン抵抗を付けない場合
ちなみにプルダウン抵抗を付けなかった場合は
プルダウン抵抗を付けないと,スピードアップコンデンサの効果が減少します.
負荷抵抗による変化
負荷抵抗を10K,4.7k,1kと変えてみました.
実験で最もよかった組み合わせ
R1=10kΩ,R2=10kΩ,RL=1kΩ,C1=100pFが最も良い結果が得られました.
参考文献
トランジスタ回路の参考書の将に定番です. 続のこちらは,モータ制御やスイッチング回路を考えるためにはFETについても述べられているこちらの教科書がおすすめです. DCDCコンバータやモータドライブ回路のことも触れられています. もちろん,「定本 トランジスタ回路の設計」もおすすめです.
おわりに
スイッチングの遅れをどうにか取り除く方策が判りました.
抵抗やコンデンサの値の決定などの設計についても触れたかったのですが, まだ勉強不足なため,まずは実験の結果を残し,後日これを見ながら解析してみたいと思います.
なお、電子回路の実験にはオシロが大変便利です。個人で買うには少し勇気が入りますが、一度買えばだいぶ長いこと武器になります。 今回の記事で使用しているのは新しく使い勝手も良いです。 ブログに波形の画像を載せるのもUSBメモリを差してプリントボタンを押すだけで簡単です。

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